Archive for November 2006

16 November

(金融)格付の意味と役割


  • 格付って何だろう、と考えるチャンスの多い昨今。日本では、外資3社に日系2社の5社が大手ということになっているようですが、こんなに林立しているところは他国にはないようです。

  • そもそも格付っていうのは、社債を発行する会社などを格付会社が評価して、その評価結果をAAA、BB、などの記号でランキングするもの。ここしばらく書いている車ディーラーめぐりで参考にしたS&Pというのはアメリカ二大格付会社のひとつですね。本来格付は、社債なんかに投資する人が、発行会社がどのくらい倒産するリスクがあるかを見極め、どの程度のリスク料を要求すればよいか(どの程度高い金利を要求するか)の判断材料として使うものです。

  • 素直に考えれば、投資家が情報料を格付会社に支払い、それと引き換えに格付会社が自分の評価を情報として売るというビジネスモデルが自然。ところが、今の多くの格付会社のビジネスモデルは「依頼格付」すなわち発行会社が格付会社に格付をお願いし、格付手数料を支払うという形になっています。つまり、お金をもらってその相手を評価するわけですから、甘くなることは無いのか?と利益相反を心配したくもなるのですが…

  • 現在では、格付っていうのは投資家による評価だけではなく、いろいろな法や制度にも使われるようになっています。その中で、もうじき始まるバーゼル規制でも格付が参照されている。金融庁案では、いまのところ「依頼格付」にむしろ価値を認めて、格付会社が勝手につける「非依頼格付」は使えないとしています。なぜかといえば、格付け会社が低い「非依頼格付」をつけて会社に『お金を払ってくれればもっと高い格付をつけてあげますよ』とブラックメールする手段にしているから、ということらしい。実際に格付の現場の話を聞いてみると、そういう節がまったくないわけではなさそう。

  • でも、だとすればそういう行為のある格付会社の格付は使いません、という規定にすればいいんじゃないでしょうか。依頼格付を「高くする」という営業は、非依頼格付がブラックメールというのか、依頼格付が利益相反というのか、よくわかりません。この格付の論点は、もっと広く議論されるべきだと思います。格付には他にも格付会社間で見かけ上同じ符号に差がある(同じ会社に格付会社によって違う符合がついている)というレーティング・スプリットの問題もあります。もっといろいろ議論されても良い話ですね。



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15 November

(金融)PEファンド


  • プライベート・エクイティ・ファンド。最近新聞にも登場することの多くなったこの運用手法が、今日のお勉強のテーマでした。プライベート・エクイティというのは上場していない株を指します(余談ですが、このプライベート・エクイティ―略してPE―の日本語訳は結構悩みます。未上場株/未公開株というと、今後上場(=公開)することが前提となっているような感がありますが、必ずしもすべてのPEが公開を目指しているわけではありません。結果として、「非上場株」がフェアな呼び方なんだと思いますが、いまいち浸透していないですよね)が、PEファンドはこの非上場株を中心に投資するファンドです。

  • ファンドがPEに投資する場面は大きく分けると二つ。これから伸びていく新会社を投資対象とするベンチャー・ファンド(ベンチャー企業の資本を担うという意味でベンチャー・キャピタリストと呼ばれる投資家の一種ですね)か、既存の会社(またはその一部門)に出資するバイアウト(買収)・ファンド。PEファンドという場合、後者のみを指すことも多く、今日はバイアウト・ファンドのお話でした。

  • PEファンドは、世でよく話題になる公開株をTOBなどで買い占めるファンドとはちょっと違います。あくまでも非上場の株式を買う(非上場会社に出資する)わけですから、会社の経営陣が承知しない投資はできません。つまり、敵対的買収はない投資手法です。では、どうしてファンドの出資を仰ぐのか。(1)他にお金を出してくれる人がいない(2)お金は欲しいが事業はのっとられたくない、などの理由があるわけですよね。前者は特に事業再生で、後者はちょっと意外に聞こえるかもしれませんが、M&Aで同業者に飲み込まれてしまうぐらいならファンドを投資家にしようと考える場合です。

  • 最近の公開株市場では、むしろ敵対的買収を仕掛けてきたファンドに対抗するために、ホワイトナイトとして同業者をつれてきて、挙句の果てには合併にまで至るということが多いようですが、実際にはファンドは「有期限でリターンをあげて出ていってくれる短期株主」なので、PEの世界では資金援助を仰ぎつつ自分の事業建て直しの時間を稼ぐという手法が立派に成り立つわけです。最近では、PEファンドも必ずしも非上場株のみを投資対象とするわけではないようで、公開株の世界にも「フレンドリー・バイアウト」という慣習が見られるようになるかもしれません。このファンドの話はいろいろと書きたいこともあり、また続編を立てることにいたします。



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