Archive for August 2007

24 August

(金)まだバタバタ


  • 間があいてしまいました。何をしていたかというと…仕事ですな(つまらん)。

  • 大きなニュースは、米銀がついにディスカウントウィンドウから借りて、さらにBOAがカントリーワイドに資金供給っていう展開ですね。先日業界の大先輩とお話をした折に、「アメリカの金融市場はインサイダー」というトピックがいみじくも出ていましたが、こういう協調振りは逆説的に言えば「さすが」としか言いようがないのかもしれません。

  • 今は、「リスクテイク」の問題だと思っていたところが「(欧州)銀行やモーゲージバンクの流動性危機」だ!と言われて大騒ぎになったものが、いろいろあったけどちょっと落ち着いたという段階なのでしょうか。今後、リスクリプライシングのフェーズに改めて移行するのかなあ…とぼんやり考えています。

  • 問題の全容はまだ見えていないので、ABCPに頼っていた資金繰りの部分を巻き戻す際に、誰に損がでるか・今後の証券化ビジネスはどうなるか、という点はまだ予断を許しませんが、行き過ぎたビジネスモデルに必要な見直しのフェーズということで済むとよいのですが。英国BBCなんかは、米国(欧州のではなく)実体経済への影響をかなり専門的に取り上げているようですね。

  • 余談ですが、今回はしみじみと各国メディアの報道姿勢の違いを実感しました。もちろん、日本への影響は極めて小さいので日本の皆さんがあまり関心をお持ちに成らないのは当然ですが、米-英、英-大陸欧州でもだいぶ違うみたいですね。FTの購読者数がまた増えるな…



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17 August

(金)だからもうサブプライムじゃないってば PartII

  • 日替わりでテーマがこれだけ変わる市場展開も珍しい。私、一応この業界で20年選手ですが、いろんなことが一気に動くときは、「次から次へとよくもまあ」色々なことが出てくるのですが、今回は、それに対して政治や中央銀行が急激に反応しており、展開の目まぐるしさに拍車をかけています。

  • ということで、まだまだ今後もいろいろありそうです。さすがにちょっと忙しいので、いつもほど飲み歩く時間がなく、結果として私のダイエットもちょっと成功?←サブプライム・ダイエット(というほど減ったわけではありませんが<私をご存知の方、そんなに痩せてないじゃんというつっこみはどうかご勘弁>)…はともかくとして、これだけテーマが広がっているのですから、いい加減に「サブプライムの問題である」として全体像を矮小化するのはやめたほうがよいですね。だからといって、「わけのわかんないストラクチャーは全部実は屑」とか「○○はこれだけ残高があるから大問題」とかいう表現にも注意が必要です。

  • 今のところ、金融市場は大きな影響を受けていて、金融機関の資金繰りという話題にまで発展していますので確かに大問題です。でも、現時点では企業収益も絶好調・景気も悪くなく・企業の借入れに(一部のM&A案件を除いては)重大な支障があるとは考えにくい状況です。とりあえずは金融市場の問題と考えつつも、もちろん、今後は金融市場の混乱が企業に影響を与える可能性も十分に視野に入れないといけません。大きな絵を見失わないようにしながらも、細部をおいかけていこうと思います…。

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15 August

(金)金融のいきつくところはやはりレバレッジ。


  • 終戦記念日だというのに、荒れるマーケットに振り回されて戦争や平和について物を考える時間がありません。簡易にいろいろかけるテーマじゃないので、今年はとりあえず棚上げです。

  • で、マーケット。今起きていることは一体何なのか?を、業界の先輩方とあれこれ話し合ってみて、幾つか起きていることのひとつはこういうルートかしら…と整理を試みてみました。


    • 2月のショックでは、問題はサブプライム住宅ローンと、これをベースにした証券化商品だけだった。金融機関の資産・資本対比でのローン残高や、それぞれの投資家における証券化商品への投資額からいって問題はそう大きく広がらず、実体経済への直接の影響があるかどうかがむしろ焦点だった。一部に、証券化全体への不安が広がると嫌だなあ…というコメントがあった。

    • 6月のベアスターンズショックでは、やっぱり損している人がいることが実感されたのに加えて、証券化商品の強制売却で、「格付が高いものでも流動性は低く、理論価格と売却できる価格は違う」ことが明確に認識されるようになり、投資家や金融機関が自分の保有しているもの(あるいは担保にとっているもの)の価値を考え直し始めた。

    • 7月の大量格下げショックでは、投資判断の基準にしていた格付への評価が変わると共に、格付は倒産確率を示すものであって時価変動を予言してくれるものではないということが徐々に腑に落ちるようになっていった。つまり、サブプライムだけじゃない問題であるとあらためて認識。このころには、サブプライムローン同様、融資条件の緩和が懸念されていたM&Aファイナンスなんかもどうよ?という疑問が表にクリアに出てくるようになった。

    • 8月のABCPショックでは、実は証券化のスキームはすべてのリスクが「市場化」されて分配されていたのではなく、長短金利のミスマッチや、銀行の信用補完という極めてオーソドックスなパーツが結構な金額で存在していることが判明した。


  • で、そうこうしているうちに


    • マルチストラテジーファンドの解約取引と目される大量の銘柄売買など、他市場への影響も広がってきた。


  • …ってかなり単純化していますが、最後(って最後じゃないかもしれませんけど)は、すごいオーソドックスな市場レバレッジの手法が行き詰ったという辺りに、金融の歴史は繰り返すことをしみじみと感じています。かつては、ひとつの銀行のバランスシートで長短ミスマッチをとっていたのかもしれませんが、今は、グローバルバランスシートで長期資産(住宅ローンやレバローン)の一部を短期負債(ABCP)でまかない、かつ、これが国境を越えている(資産は米国・負債保証の一部は欧州)。間に証券化や再証券化、デリバが入っているので構図は一層わかりにくくなっていますが、ざっくり考えるとこういうことなんじゃないでしょうか。

  • こういう目線で整理してみると、「高格付というラベルを貼っていたけど実はジャンクだった」という詐欺のような話ではなく、「長い資産を一部だけ短い負債で調達していたことのほころび」「実質的価値はちゃんとあっても流動性が低ければすぐ売れるとは限らない」という問題である、となるんじゃないかなあ…。動きの早いファンドなんかはサルベージ(実は価値があるけど流動性低下で割安になっているものを買いに来る)に走るので、価値評価の問題は多少時間がかかったとしてもいずれは収束するとして、長短ミスマッチの問題はもう少し解きほぐして、いったいどのくらいの金額がこれに該当するのかを考えてみる必要があるってことでしょうか。

  • 後は他にもこういう構図の問題があるかどうか、金融の問題が実体に広がるか、ボラティリティの上昇が他市場にどれだけの影響を与えていくのか、…と見ていこうと思います。


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14 August

(金)ベタ凪相場はまだ少し先?(予想がはずれました)


  • マーケットはちょっと小康、と思ったら欧米共に下げの展開。尻尾が犬を振り回す展開<金融市場が実体経済に影響を及ぼす展開>にならないといいなあ…と市場の沈静化を祈る毎日ですが、カナダとかオーストラリアとか言われちゃうともうしばらくはお手上げですね。

  • 今後のディザスターシナリオ(可能性はきわめて低いが起きたら大変なイベント)は、ABCP・LBOでバックアップをしなくてはいけない金融機関のリスク・エクスポージャーが増え、ここで信用収縮が起きるということなんだと思いますが、これだけ「市場化」された企業金融の姿で、実は信用創造のジョイントは銀行の信用創造に由来していた、ということが見えてきたということなのかもしれません。だからといってこれが大手金融機関の破綻につながるようなことはないと思いますが。

  • 私はもともと「市場型間接金融」という曖昧な表現が大嫌いなのですが、今回起きていることは後から振り返って全体像を出来る限りで分析してみたいと思います。日本はこれからどういう方向をめざしていくのか、も考えないと。とはいえ、海の向こうのことでなかなか情報収集もたいへんですが…

  • で、日本。個人的には、リスク波及の連環に日本(日本の法人)はほとんど登場しないように思います。もちろん市場は動いていて、特に株には二次的な波及(全般的なリスクプレミアムの拡大とか、グローバル・オペレーションのファンドのポジションアンワインド(?)の一部とか)の影響が大きく、予断はゆるしません。ただ、海外の本丸であるクレジット(金融システムを含む)は大きな混乱が及んでいないですよね、今のところ。海外でも、別に問題は景気や経済そのものではないので、金融市場の混乱をどう解きほぐすかということだけのような気がするんですよね(今のところは)。影響が薄いのは夏休みらしくてよいかもしれませんが、グローバル化する金融市場に取り残された姿だと思うと寂しいですね。


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13 August

(金)ABCP<先週の続き>


  • 先週のアップ分を少し補足します。先週来、ABCPとは何か、SIVとは何かという調べ物に追われています。ABCPは資産担保証券、SIVは日本語訳があるのかな?ストラクチャード・インベストメント・ビークルですが、いずれも金融資産を担保・見合いとしてCPなどを発行する仕組みで、この信用力を補完するために銀行が「流動性補完(または信用補完)枠」を設定していることが話題となっているものです。

  • 資産見合いのCPですから、本来はその資産から生ずるキャッシュフローや、その資産の現在価値を見合いに新たに借り入れる(リファイナンス)資金で既存のCPを弁済していくわけですが、これがうまくいかない場合に「枠」が発動されて、金融機関などが元利を支払うことになります。つまり、担保となっている金融資産がうまく売れない場合とか、売れても価格が著しく下落している場合に、銀行の支払い義務が生ずるわけです。

  • 先週来、欧州市場を中心に、中央銀行が市場に資金を供給し続けていますが、その背景のひとつに米国のABCPのうち、証券化商品を見合い金融資産とするプログラムで金融機関の支払い義務が発生(するという懸念。。。がほとんどかもしれませんが)したことから、欧州系銀行の米ドル資金需要が増えたことが指摘されているようです。

  • 本件についてはいろいろ考えたいポイントがあるのですが、とりあえず今日は一番気になるポイント。かなりのレベルまで市場化してしまった金融の流れをバックアップするものが、伝統的な金融機関の枠組みで、かつこれがトラディショナルな「クロスボーダーで他通貨の不足」という形で現れてくるとは。意表をつかれました。まだ、おそらく不安が膨らんでいる状況だと思いますので全体像(いったい誰が実際の負担をしたのか?)は見えていませんが、米国ABCPの問題で欧州銀行(しかも大陸系)に最初の問題が見えてきたというところに、近年の金融市場の特色が見えるような気がします。



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