Archive for May 2005

30 May

事業再生関連


  • 「カネボウ情報廃止をきっかけに廃止基準運用の透明化を」(金融財政事情5・30日号)「カネボウ上場廃止の波紋」(Verdad6月号) コクド(名義貸し)の上場廃止に問題が提起されなかったのに比べ、カネボウ(粉飾決算)の上場廃止は大騒ぎ。後者は、産業再生機構や金融庁まで登場して、東証自体の上場話まで絡めての大展開となっている。上場廃止は、上場を継続できるようなちゃんとした会社ではないという判断を下すものですよね。だとすれば、巨額・長期の粉飾決算(カネボウ)は当然廃止。ここで、株主に影響があるからなどと言い出すあたりは、産業再生機構が「私的整理」を基本とする再建スキームであり、株主様にも主要取引先にも損を与えず、銀行の借金棒引きのみで再建できますよぉとうたってきたからに他ならないのであろうが、そもそもこの私的整理で株主はセーフ、というスキームはどういうもんだろうか。銀行への公的資金注入(1号措置)とあわせて、???と感じる。

  • 日経金融5.25の「ポジション」欄は不良債権売買(とはいっても要管理)にまた外資系ファンドが熱心<しかし資金の出しては日本の銀行中心>と書き、5・26の日経夕刊はブラックストーンが買収ファンドとしては過去最大の資金調達を行うとの記事。両者は似ているようで全然違う現象を捉えている。前者は、銀行がなぜか銀行の不良債権処理(売却)受け皿のファンドにお金を出しており、その理由が「ほかに投資するものがないから」というものであり、後者は買収ファンドがグローバルに資金を集めているとの話題。比べるまでもありませんね…。


本日の「がっかり#2」(#1はいうまでもありませんが上記不良債権ファンドの資金の出し手です)

  • 「民主岡田ビジョンに漂う朝日臭」(週刊新潮6.2)誰かまともな外交センスはないのか…。もっとも偏向しているであろう朝日新聞の影響とは。とほほ。



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27 May

公的金融


  • 公的金融といわれて何を思い浮かべるか。郵貯・簡保と答えるかもしれないし、政府系金融機関かもしれないし、国債そのものかもしれないし、地方自治体の債務かもしれない。公的金融という言葉が意味しうる対象はたくさんあって、それぞれに問題含みだという共通項があるというだけのことかもしれないが以下二題。

  • 「先送りされ続ける地方公社の抜本処理」(金融財政事情5月23日号)。第三セクターの清算のヤマは越えたが、地方公社などの特別法人にはほとんど手がつけられていない。。。とのリードで、地方三公社の問題点をまとめている東京商工リサーチの方によるレポート。第三セクターの清算は佳境に入っており、公社にくらべればその進展度合いはマシではあるもののおそらくまだヤマは先にあるだろうと個人的には思うが、このレポートのご指摘どおり公社債務は深刻である。いや、それより深刻なのはこれらをすべて含めた地方自治体の借金であろうか。こういうものをまとめた「内部」レポートはおそらく霞ヶ関などに山ほどあるのだろうが、外部からこの問題をいくら真摯に勉強してもあまりお金にならないということもあり、人目に触れるような総括がなかなかない。もはや公的部門の債務は個人資産を食い尽くすサイズに成長しているといわれているが、実態はどうなんだろう。

  • 「安易な公的保証多用が招くリスク」(エコノミスト5月31日号)。これももうひとつの見えにくい公的債務。筆者は国会図書館の調査局の方と、参議院事務局の調査員の方。横道にそれるが、国会図書館の調査局のが政治家の情報収集に果たす役割は、「政策秘書という仕事 (平凡社新書)永田町の舞台裏を覗いてみれば」を読んで初め知った。こういうところにインテリジェンスがいたのね。
    さて、本題に戻って、このレポートは調べも行き届いているし、主張も明確です。直接・間接に偶発債務の合計額を100兆円と試算しており、この分野に十分なモニタリングがされていないことの危険性を指摘している。



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25 May

ヘッジファンド

ヘッジファンド

  • まずはグローバル。FTの5月23日付で、Regulators increase hedge fund scrutinyと題して、さすがにファンドに何らかの規制をかけないとまずいのかなあという当局の「まずはモニタリング」の姿勢が報じられている。もっとも、SECがregistrationを求めても、ファンドの数がとても多いのに対して人手が増えるわけでもなく、実質的な検査が強化されるという感覚はあまりないとのコメントも聞いた。

  • あーあ。と思ったのは「信金・信組にヘッジファンド調査を行なう金融庁の思惑」(週刊ダイヤモンド05・28)。アリバイ作りだかウォーニングだか知らないが、示唆すべきなのは世界市場でこれだけのプレゼンスを占めるようになった金融資産(といってもよいのでは?残高1兆ドルですからね)に、「選択眼をもって参加する」ことが大事なのでは?低金利が長引くかぎりオルタナ投資の必要はあるんだし、低金利じゃなくても分散は必要なんだし、日本の投資家が世界の金融資産に投資するときに「日本人投資家が入ってきたときが相場の天井」と皮肉られないような環境を作ることをもっと考えられないかなあ。。。とつくづく。当局が<監視>するために、十分コンサバにやっていますといういいわけのために世界のヒジョーシキであるところの「高い解約頻度」とか「ファンド購入の検討に数ヶ月、時には数年という時間をかける」という慣行がファンドの選択を誤らせているという側面がもしあるとすれば…。

  • 最後に、めずらしく日経金融から。東京三菱銀行の方によるヘッジファンド論(5月20日の視点論点)。米国に金融リスクが集中しつつあるというこの方の見方には同調するものの(実際、一時ロンドンにお株を奪われていた商品開発なんかも米国にもどりつつある感を持っています)、「ヘッジファンドだけではなく投資の多様化」という結論にはあまり賛成できないところ。ただ、これは個人的な感想なだけですが。ヘッジファンドはおそらくひとくくりにしてよいものではなく、その内容は多様。違う投資戦略のファンドを並べて買えばそれだけでリスクの分散をはかることもできます(極論)。また、ファンドは資金調達にネックがある(これはまさにそのとおりです)ので、ファンドの破綻が取引金融機関の不安につながる、という考え方は、確かに今市場でそういうコメントは聞かれるものの、おそらくプライムブローカーやレバレッジをつけている金融機関の側からは「LTCM以降のリスク管理手法を見てくれ」という反論もありそうですね。

  • で、結論は、と。もっとファンドのことを勉強しなくちゃ(ここまで偉そうに書いておいてこんな結論もあんまりですが)。危機感として思うのは、投資家・市場の双方でヘッジファンド<とか外資とか>を締め出す戦略をとっていると、金融市場の周回遅れが三周回遅れぐらいにあっという間になっちゃうこと。GM・フォードの危機があるとなぜ日本株が低調になるのか。ファンドのリスクアンワインド取引が世を席巻しているから、というつながりの糸もあるんじゃないのかなあ。



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20 May

今日はちょっと硬派です<情報収集・セキュリティ・市場の閉鎖性>



  • 「盛り上がらぬ情報省設置構想」(選択2005年5月)。これは主として国防にからむ「インテリジェンス」の必要性を訴える記事。ここしばらくで私がもっとも夢中になって読んだ本、佐藤優氏の「国家の罠」に記されているような本当のプロの言をまたずとも、情報収集をもっと重要視すべきではないかという意見が大勢になってしかるべきであろう。確かに一般国民にはその必要性はわかりにくい。しかし絶対に必要である。
    国防より命の危険という意味では一段落ちるかもしれないが、金融市場にも「インテリジェンス」がなさすぎると感じる。日本の投資家が本格参入するときは、その商品の最高値を意味する(つまり後は下がるだけ)という評価をよくきくが、この情報収集の甘さと決断の遅さを見れば、それも当たり前なのかもしれない。そんな中で、もちろん現地の情報合戦に互角に加わっている投資家もいることは、わずかな慰めですが。

  • 「UFJを失った日立製作所の衝撃」(同上)。銀行の基幹システムの受注競争が、銀行業界の合従連衡により勢力図の変更を余儀なくされているという図。これに伴うコンピューター会社の勝ち負けには直接の興味はないが(もちろんそれも大事なんですが)、システム覇権がビッグファイブから日本IBMとNTTデータの二強に、という記事には国家金融システムのセキュリティという見地から危機感を覚える。もっというならばおそらく今後NTTデータの一人がちという様相も予想されるわけで、そうなった時に何が来るのか。一行こけたらみなこけた、ですね。バーゼルIIのオペレーショナル・リスク管理は個別行をターゲットにせざるを得ないわけだが、金融システム全体という見地からはシステム・プラットフォームの多様化をはかっておくべきではないのか?と思える。

  • 「株式持ち合い強化策の功罪」(同上)。こういう記事がもっと世に広くいろいろな立場からでるべきではないか。グローバル・トレンドに逆行する持ち合いを進める会社は、その他株主の利害を考慮する体質にあるとは思えないので売り!という結論になってもよいんじゃないか。と思う逆行振り。記事によれば、買収脅威論の対等から持ち合いブームに発展するのは史上4度目とのことだが…。この件についてはもっとたくさんいいたいこともあり、考えをいずれまとめたい。



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